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「……やっぱりやめましょうか、ファンタ? この二人、全然見込みがなさそう……」
振り向くと、ジア姫は俺の真後ろに、つーか、俺の肩に顎を乗っけてりょうたちを見ていた。
近い近い! 顔が近すぎますよ、姫!
「はぁ。やっぱり姫は分かってませんねぇ。このはつかという女の子、相当素直じゃなさそうですよ」
ドギマギするのを必死に抑えて視線を前に移すと、俺は姫に一言述べた。
姫は火炎、雷撃等、攻撃系の魔法は得意でも、チャームなどの精神操作系魔法は大の苦手としている。
姫に起こせる魔法による奇跡など、こと恋愛に関しては微々たるものなのだ。
よって、ある程度見込みのありそうな二人でなくば、恋愛成就は不可能だろう。
「素直じゃない?」
「はい。口ではああ言っていますが、本気でそう思っていたなら、一緒になどいられませんよ」
「そりゃそうね。じゃ、なんであんなひどい事言うの?」
「面白いから、でしょうね。あれが彼女の、愛情表現なんでしょう」
「あー! なんか分かる! 私も、ついついファンタに攻撃魔法使っちゃうもんなー!」
「は?」
怪訝な顔で振り返る俺に、姫は口を押さえ、真っ赤な顔で後退った。
と、そこまではいいのだが、再び白いステッキが輝いた。……なんで?
「変な顔するな、ファンター!」
「うぎゃあぁぁぁ!」
再度の雷撃に朦朧とする意識の中で、俺は素直に言葉を鵜呑みにするりょうをなんとかしなければ、と考えていた。
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