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pm21:57 「2502号室にお泊まりの沢本様にお会いしたいのですが」 「アポイントメントはお取りでしょうか?」 「いえ」 「申し訳ありません、アポイントメントのない方のご訪問はお受け出来かねます」 「では待たせていただけますか?ご本人が出ていらっしゃるまで」 「お名前を頂戴しましたらお伝え致しますが」 「鳴海と申します」 「ナルミ様でございますね、少々お待ちください」 月末まであと一週間 昨日涙が止まらないまま、家に帰って 『どうぞまたいらしてくださいませ』 懇願するような執事さんに曖昧に微笑んで、頭を下げて 何度手紙を読んでもわからないことだらけで 会いに行こう、と意気込んで来た 会える もうすぐ 言いたいことが山程ある 「お待たせ致しました、右手のエレベーターで25階へどうぞ」 エレベーターが上昇していくにつれて緊張感が増す 逃げないで ちゃんと受け止めるから お願い 負けないで 一緒に闘うから 毛足の長いカーペットの上、スイートルームの25階に足を踏み出す ”2502“ どうしよう 涙が出そう ねぇ蘭 いい弟を持って幸せ 私の選択は間違ってないよね? 涙を堪えてドアベルを押した
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