たくさんのハート

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『やっちまった……。』 渡す人もいないのにバレンタインのノリに任せてハート型のチョコ大量に作っちゃったよ……。 毎年どんなにたくさん作ろうが、あげる人がいなかろうが、幼なじみのみーくんが、いつも全部食べてくれていたけど、今年は、そうはいかない……。 みーくんには、彼女いるし、なんていったって今現在喧嘩中だもん……。 そんななかのんきにチョコなんてあげれないよ……。 しかも、こんな大量のチョコ……。 あー、もう、どうしよ……。 泣きたくなってきた……。 なんで、チョコなんかつくちゃったんだろ? ………。 泣いてても何も始まらないや…。 とにかく食べよ…。 一人でぼそぼそと食べはじめたが、たくさんありすぎてなくならない……。 『もう、なんでハート型なんかにしたんだろ…?虚しくなるだけじゃん!』 チョコを食べるのに飽きたあたし…。 たくさん食べたのになくならないチョコ達………。 (ガチャっ) 玄関の扉が開いた音がした。 もしかして……みーくん? そんな期待があたしの心をよぎる。 そんなはずないとわかっているのに……。 「うわぁ、あまったるい匂いするなぁ」 部屋に入ってきた第一声は、そんないつものような会話……。 それは、期待していたみーくんだった。 『…………みーくん……?』 「んっ、久々だな!」 喧嘩なんてなかったかのようにいつもどうりに話してくるみーくん…。 「ごめんな!」 『えっ…?』 「変な意地はって悪かったよ」 『ううん、あたしこそごめん…。』 「仲直りの記念にチョコ食べていい?」 『……みーくんそれ目当て?』 「いやっ、違うよ…!」 『……やだっ!』 「そか……。」 『全部食べなきゃゆるさないんだからねっ!』 「…………あたりまえだろっ!!」 それからみーくんは、甘い甘いハート型のたくさんチョコを全部残さず食べてくれた。 みーくんありがと……!
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