2じかんめ「愛情弁当」

12/14
前へ
/50ページ
次へ
「あか、せんせい?なんで」 俺がいるとは思わなかったらしく驚いた表情で片手に袋、そしてもう片手には傘を持って現れた純也くんは取りあえず座って俺を見つめて当然の疑問を投げかけてきた 俺が今までの経緯を話すと元々理解力も判断力もある純也くんは直ぐに状況把握をできたらしく直ぐに俺を見つめてぺこりと頭を下げる 「かってに幼稚園を飛び出してごめんなさい…」 「ううん、麗くんのお弁当のためだったんでしょう?」 「それでも、だめなことはだめだから…だから、ごめんなさい」 「ちがうよ、ぼくのためにしてくれたんだから!純也くんは悪くないよ」 「大丈夫、ちゃんと二人がごめんなさいしてくれたから先生は怒ってないよ?…二人が無事でよかった」 俺がにこりと笑いながら話しかけて頭を撫でると麗くんはふにゃりと可愛く笑っていて純也くんは笑いはしないものの照れたように顔を背けていてよく見たら頬は赤く染まっていた(嗚呼、本当に)(…この子たちは可愛いな) 「おべんと…、迷惑かけてごめんね?」 「ううん、でも…麗ん家にいったけど、おばさんいなくて…」 「しかたないよ、だっておしごとだもん…」 「で、俺の家行った」 「え…?」 二人が弁当について話し始めたのを聞いて俺が口を出すのも悪いなと思って二人を見守る 直ぐに謝った麗くんに純也くんは苦笑いを浮かべて年上にも関わらず麗くんは頭を撫でられていてそれに俺は二人の邪魔にならない程度に笑う そんな具合に俺が二人を見守っていると純也くんは片手に持っている袋を呆気にとられている麗くんにそれを押し付ける 何が何だか分からない様子の麗くんだけれど恐る恐ると言った様子で袋の中に手を入れて中にあるものを出すとそれは弁当箱で 思わぬことに麗くんはもちろんのこと俺も驚いてそれを凝視してしまった 「…おばさんの弁当じゅんび、できなかったけどおれが作ったから…だから、まぁ…食べたかったら食べてよ」 「…ありがと!」 照れくさそうな純也くんに麗くんは大事そうに貰ったお弁当を抱えたままぎゅうっと純也くんに抱き着いてもの凄く嬉しそうな笑みを浮かべている そんな二人を見つめながら「そろそろ帰ろうか」と伝えると二人ともこくんと頷いてくれてやっと三人で幼稚園に帰ることになった .
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

159人が本棚に入れています
本棚に追加