1じかんめ「自己紹介」

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「どうも、みなさん!今日から年中のひまわりの担当になりました、紅花翔太といいまーす、よろしくね」 「はーい!」 「皆ぁ?はな先生って呼ぶんやで?」 「はーなせんせー!」 「はーい、はな先生です!」 「多村せんせーそっくりやんか!」 園児と一緒の朝礼の時間となり俺が他の先生に連れられて講堂に現れると小さな手から沢山の拍手が聞こえて思わず笑みが零れる そのまま自己紹介をすれば横にいたタツ先生が横やりをいれると一斉に今日つけられたあだ名を呼ばれて少し照れくさくなりながらも元気に返事をすると一番端の列、年長の子たちの中から勢い良い関西弁が聞こえてきて思わずそちらに視線をやる そこにいたのは黒髪色白の男の子で大きな瞳でじっと俺を見つめながら俺の顔を指差している 担当の翠川先生が慌ててその子にかけよる 「こら、友哉くん!人を指差しちゃいけないっていつも言ってるでしょう?」 「だってさ、顔を一緒なんやもん!多村せんせーがかえってきたんちゃうん?」 「だから、多村先生とはな先生は違う人なの、ね?」 「むー…わぁったわ」 「わかったんなら、友哉くん…少し静かにしようか、ね?」 いつまでも大きな声で話し続けるユウヤくんに翠川先生は困った笑顔を浮かべながら自分の唇に人差し指を当てれば聞き分けはいいらしくこくんと頷いてそのまま黙った(多村先生って?) きっと俺の前任の先生の名前なんだろう、翠川先生のやけに焦った表情が心に引っ掛かったけど…まぁ、先生間のいざこざなんてよくあることだから特別気にすることなかった それからは特に大きな事件もなく朝礼は終わり、自由時間になった 俺が初日だから4,5歳児で合同で見ることになり翠川先生に一人一人の名前やその子の特徴を聞きながらコミュニケーションをとっていく .
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