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『直也くーん。一緒に帰ろー』
『おー』
私の中学と直也くんの高校は近かった。学校で同じ時間を過ごせない分、せめて登下校は一緒にいたい。
だから直也くんの帰りに合わせるために、活動が最も少ない好きでもないワープロ部に入った。
直『実彩子部活好き?』
実『嫌い。パソコン苦手だから』
そう言うと直也くんは決まって
直『青春無駄にしてるなー。好きな部活入れよ』
って笑うのだ。
好きな部活に入ったら、一緒に帰れる時間がなくなる。
私と違って直也くんはバスケ部に入ってたから、帰りが遅くなることもあった。
そんな時は近くのお店で時間を潰した。
直『遅くなる時は待たなくてもいいよ?』
そう何度も言われたけれど、
実『ううん。いいんだ』
直也くんと帰る時間が好きだから、私は断った。
―同じ学校に入るまでの我慢だもん…
一緒にいる時間、共有できる情報を少しでも持ちたくて、私は直也くんと同じ高校を受けた。
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