第一章 教師と巫女とA組と

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「ヤタ……どうしてお前がここに?」 初めて担任もって、初めてのショートホームルームでの一言がまさかプライベートなことになるなんて一体誰が思いつこうものか。 ああ、なんかもう色々と酷すぎる。 入り口で硬直している俺に、ヤタはため息混じりに肩をすくめる。 「取り敢えず挨拶を済ませたらどうなの?」 「あ、ああ」 全く持ってその通りである。 始業式兼入学式は昨日済ませた――この学校じゃ何故か入学式だけを先に行い、その次の日に初めて組別に集合する――から時間に少しくらいは余裕があるが、固まってるだけじゃ何も始まらない。 取り敢えず教卓の前まで移動する。 さて、初めて担任持つから最初に何するとかっていう定石的なものは全く分からなかったりする。 てかそんな定石があるのかどうかさえ分からん。 まあでも、最初にやることっていったら非常勤だったときと大抵は同じなんだろうな。 まず自己紹介して、それから各々の生徒に自己紹介させる。 そんな感じでいいか。 「さて、少しばかり想定外のことがあって取り乱しかけたりはしたが、まあ忘れてくれ」 俺が学生だった頃を思い浮かべても、最初からこんなこと言う担任はいなかったと思う。 「取り敢えず軽い自己紹介からだな。 俺はこれからお前たちの担任を務めさせてもらう、カイト=サトウってもんだ。 今年初めて担任を持つわけだが、まあよろしく頼む」 因みに漢字表記だと佐藤 海人だ。 とは言っても、こっちの世界に漢字の概念がないから完全に無駄知識と化するんだが。
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