第一章

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――PM18:05  曇天の空、湿度の高い梅雨入り季節。今にも雨が落ちてきそうな――そんな空から逃げるようにフードを被った一人の男は、小走りで近くにあったトンネルへと向かう  人があまり利用しないトンネル。数メートルしか無いトンネル内には電灯は一ヶ所、さらに『○○参上!』や『夜露死苦』または『ヤりてー!!』などなどスプレーな様な物で様々な落書きがされており大きな子供専用の落書き帳と化していた。  そんなトンネル内で腰を降ろしたフード男は、ポケットからタバコとライターを取り出しタバコに火を付けた 「フッ――やっぱ連絡しとけば良かったかな…怒られるのヤダしなー。でも仕事は完了したしとりあえず連絡すっか」  フード男はまたポケットをゴソゴソし、傷だらけの二つ折りタイプの携帯を取り出した 「あ、そういえば充電切れてたんだ。はぁ――ツイてねぇな俺は…。近くで充電出来る場所あったっけな」  タバコを口にくわえたまま紫煙を吐き、フードの上から頭をガシガシと掻くフード男 「とりあえず移動だな、雨降らなきゃ良いけど」  フード男はその言葉を呟き口にくわえていたタバコを捨て、それを合図にして立ち上がりトンネルから出ていった。
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