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~はじまり~
疲れたと言えば、そうで。疲れていないと言えば、そうだ。言い難い今の心身状態は、確実に自分を蝕んでいる。冷たい冬の風を受けながら、夜の街をゆっくりと歩く。硬いブーツの底が奏でるリズムに乗って、気ままに人で賑わう駅前へと行く。何故だか叫びたいような気もするこの気持ちは、なんと言えば良いのか分からない。行き着いた駅前のベンチに座り込むと、胸の奥底から溜息を吐いた。軽く目を閉じて、何がしたいんだ、と自分に問いかける。もちろん、答えが返ってくるハズはない。何かをするために、それこそ駅を利用するために来た訳ではないのだから。だけど、それでも。答えを探し求めずにはいられない。一向に出てこない答えに自分に問いかけるのを諦める。ふと見上げた夜空は、星も見えなくてただ黒一色だった。
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