自分に嘘はつけない

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―――――――――――― 「ここって・・・・廃工場?」 私達の目の前に広がるのは、学校の裏手に建っている廃工場だった。 この工場は、今から十年以上も前から稼働しておらず、現在は立ち入り禁止区域になっている。 「祐希君、こっちこっち!」 麻衣が四つん這いになりながら手招きする先には、人が一人通れるかどうか位の穴がフェンスに空いていた。 麻衣に続き、祐希と私もフェンスをくぐり抜ける。 この工場は、人目につかない事から地元の不良達のたまり場になっていた様だが、最近は先生や警察の見回りも厳しく、滅多に人が寄り付かなくなっていた。 「おいおい・・・・こんな所に連れてきて俺をどうするつもりだよ・・・・。もしかして襲われ・・・・」 「はいはい。そんな下らない妄想してる暇があったら進む進む!」 うろたえる祐希の発言を無視して、私はグイグイと祐希の背中を押した。 私達の目的地はこんな廃工場ではなく、工場を通り抜けた先にある裏山だった。 ―――――――――――― それから山の獣道を歩く事数十分、私達は目的地へとたどり着いた。 そこは、山の高台で学校側の木々がバッサリと伐採されている為、街の風景が百八十度一望出来る絶景が広がっている。 更に時間的にも夕日が沈む頃合いで、街全体がオレンジ色に輝き、その絶景に拍車をかけていた。
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