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「あれ?恭ちゃん、何か元気ないねぇ・・・・」
「えっ?えっ?そ、そんな事ないって!ははっ、また麻衣は変な事言っちゃってぇ」
不意に発せられた麻衣の言葉に動揺を隠せなかった私。
そんな私を探るような視線でジーっと見ていた麻衣だが、核心を突いた一言を言い放つ。
「もしかして、祐希君が心配?」
「・・・っ!!な、何で私がアイツの為に意気消沈するのよっ!!はぁ!?バッカみたい!!!」
完全に図星だった。
もし、祐希が今日の面談で停学を言い渡されたら、最悪の場合、一度も学校で顔を合わせないまま夏休みに突入してしまうなんて事態も想定出来る。
そんな不安から、私はどうしても元気に振る舞う事が出来なかった。
それにしても、麻衣の洞察力にはいつも驚かされる。
・・・・まぁ、私が慌て過ぎて分かりやすいってのもあるんだけど。
そんな私の思考を全て悟ったかの様に、麻衣が口を開く。
「祐希君の事なら大丈夫だよぉ♪」
「へ?大丈夫って・・・何で?」
「実はさ、私も祐希君が心配で今朝早く家出て、祐希君のアパート寄ったんだ。そしたらね、『多分、親戚の人が何とか言いくるめてくれるから大丈夫』って言ってたからさ♪きっと、親戚さんは弁護士とか検事みたいなプロなんだよ!」
そう言うと麻衣は、腕組みをしてウンウンと頷いた。
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