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「ははっ・・・そっか。それなら安心だね・・・・」
愛想笑いで返事をした私には、祐希が停学を免れるかもしれない喜びは些細な事に成り下がっていた。
それよりも気になるのは、麻衣が一人で祐希のアパートに訪問した事。
その事実が私の心を独占してしまい、それ以外の事態をいまいち把握出来ずにいた。
「ねぇねぇ、それよりさ!放課になったら祐希君の親戚さんに会いに行かない?」
「はぁ!?あんた何言ってんのよ。そんなの迷惑に決まってんじゃない」
「・・・だよね。・・・・ははっ、ごめんね恭ちゃん、無理言っちゃって」
そう言うと麻衣は、少し元気を失った様に作り笑いをした。
まぁ、確かに私も祐希の親戚には興味はある。
だけど、その親戚は今日は遊びに来ているわけじゃなくて、むしろ謝罪に呼ばれてるのだから、そんな興味本意で会うのは失礼かと思えた。
「・・・・・」
けど、無言でうつむく麻衣を見ていると、ただの興味本意で言ったわけではなさそうに感じた。
「ねぇ、麻衣。何でそんなに祐希の親戚に会いたいワケ?」
「へ?・・・あ、うん。やっぱり今回の件は私にも責任があるしさ。・・・・へへっ、だから親戚さんにも一言謝りたいなぁと思って・・・・」
そんな麻衣の真意を聞いて、私は内心ホッとした。
この子は野次馬目的で人に迷惑をかけるような子ではなく、謝罪をしたいが為に迷惑承知で会いたい。
そんな純粋な心の持ち主だと再確認出来たから。
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