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「う~ん・・・・なかなか出て来ないわね」
「そうだね~」
今は二時限後の放課中。
私達は校長室付近の廊下の角に身を潜めて監視を進めていた。
HR後と一時限後の放課にもここに来たのだけど、祐希と親戚が何時に訪問するのか知らなかった私達は、なかなかタイミングが合わなくて、会うにはただこうして待つより他に方法がなかったのだ。
「来客用の下駄箱に見慣れない革靴とヒールがあったから、校長室に居る事は確実なんだけどなぁ~。あ~、もう!さっさと出て来なさいよ!っとに」
「ねぇねぇ、恭ちゃん」
「ん?何?」
「何か昨日もこんな感じで祐希君待ってたよね?私達」
「そういえばそうね。・・・・アイツは人を待たせる事に天性的な素質でもあるのかしら」
「あはは。な~んか、こんな事が続くと私達って祐希君のストーカーみたいだよね♪」
そんな冗談を言いながらケタケタと麻衣が笑っている時、ガラッと校長室の扉が開いて三人の人物が出て来たのが見えた。
「失礼しました」
そう言いながら深々と頭を下げる三人のうち、一人は祐希本人。
そして、その両脇には、髪をオールバックにした四十代程の男性と綺麗なロングヘアーの若い女性の姿が見えた。
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