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目の前にいる男ほど、憎らしいと思う人はいない。
家柄。
成績。
顔。
役職。
何に対しても、彼が一番で僕が二番。
僕が彼に勝ることなど、一度もない。
そう、何に対しても。
書類に目を通していた会長が、ふと顔をあげた。
「おい。副会長。今日までの、あの書類どこいった?」
そういわれて、なんのことだかすぐにわかった僕は答える。
「あれなら、もう教頭に渡しておきましたよ。」
「おぉ、そうか。さんきゅーな?」
会長はふわりと僕に笑みを見せた。
たったそれだけで、僕の頬を赤くなる。
ずるい。
この人は、ずるい。
だいっきらいなんだ。
なんでも、僕の上をいって。
僕の望むものは、全部会長の手のなか。
悔しくて、悔しくて、悔しくて。
悔しいけど、好きなんだ。
それが一番で悔しい。
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