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「会長?」
「んだよ。人をお化けみたいに。」
いつもよりちょっとだけ、機嫌が悪い会長。
そりゃそうだ。
なんてったって、今日はバレンタインデーなんだから。
「もう、帰んのか?」
立ち上がったままの僕を見て、会長は言う。
「いえ、気分転換にコーヒーでも入れようかと。」
そう言えば、会長は優しく笑う。
「いいな、それ。俺も一杯貰おうか。」
「わかりました。」
会長にそう言って僕は、急騰室に足を運んだ。
甘いものが得意じゃない会長は、基本的ブラック好きだ。
今日みたいな日は、特に濃くしておこう。
僕以外から貰ったものなんて、味が分からないように。
「どうぞ。」
「さんきゅー。」
「いえ。」
僕は会長に渡すだけ渡して、素早く席に戻った。
今日は、早く仕事を終わらせて、早く変えろう。
嫉妬で真っ黒な自分を見られたくない。
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