[4] 結婚生活という魔界。又は楽園

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 けれど、単純で幸せな夫は、 「嫁がちょっとおかしな事を言い出した…普段は冷静沈着な嫁だから、明日になったら治るだろう」 だとか… 「雪の中を嵐の中を遊びに出て行きたがる様に…大の大人の弁当に海苔で絵を描く様に…また嫁が変わった行動にでた…よく分からないがしばらくたてば気が収まるだろう…」 ぐらいの事しか思っていないのです。  そして、次の日には(きちんと)忘れたフリをする嫁を見て、そっと胸を撫で下ろします。  冷静沈着である嫁の私が、例えは何にも無いときに夫からされる軽いキスによって、又は寝ているときに不意に夫から繋がれる手によって、夫の愛情を確認し、  夫が洗濯機に放り込む丸められた靴下や、裏表逆に成っているワイシャツを(それほど)イライラせずに直すことが出来る自分の心によって夫への愛情を確認している、異人種とは気が付いていないようです。  結婚とは魔界に紛れ込んだようなもの。  夫は全くその事に気がつかないし…。  冷静沈着に見える単純な嫁は、また直ぐに魔界を楽園と勘違い…又は信じ込んで、スキップで、もしくはダッシュで奥へ奥へと進んでいきます。  
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