_ドラム×苺

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 「お疲れ様でしたー」  「裕翔くん!」  仕事が終わり  楽屋を後にしようと  した時、誰かに  呼び止められた。  「…おぉ、どした?   山ちゃん」  「ちょっと話…あまり   大きな声で話せない   から、一緒に帰ろ?」  「…おぉ、あっ、   んぅいいよ!」  …マジかよ!!  大好きな山ちゃんと  帰れるとか久々…!  無意識に心の中で  ガッツポーズをしていた。  でも山ちゃんから  誘うなんて珍しいな。  俺は少し疑問を  抱きながら、山ちゃんと  仕事場を出た。  山ちゃんは俺の隣で  ただ黙って歩いている。  山ちゃんと肩を並べて  歩けるのは嬉しい。  けど…  「や、山ちゃん?」  俺はいつまでも  この若干気まずい  雰囲気に身を  置きたくなくて  自ら沈黙を破った。  「話…って、何?」  「あ、あの…えっと、   んーと…」  俺に顔を向けないまま  一人しどろもどろ  している山ちゃんの表情は  普段かけている縁眼鏡の  せいでよく見えなかった…  気がしただけだった。  やっぱ…山ちゃん  テンパってる?  「あの、あのあの…ぁ」  「落ち着いて山ちゃん!」  俺は優しく山ちゃんの  背中に手を当て、支えた。  「ん、んぅ…」  山ちゃんがテンパる  なんて珍しいな。  今日山ちゃん  珍しいことばっかり(笑)  「あの…ね」  落ち着いた山ちゃんは  小声で少しずつ話し出した。  「今度また歌番組の   収録あるじゃん…?  「あぁ、あるある!」  「その時にさ…また   裕翔くんとの絡みに   カメラが寄るでしょ…?」  「ん、だね(笑)   あれすんごい照れる//」  「その俺と裕翔くんが   向かい合う時にね…」  「うん?」  「もっ、も…っ」  ふと山ちゃんの顔を  見ると、林檎のように  赤くなっていた。  か、可愛い…っ!  山ちゃんは顔を真っ赤に  して、目をギュッと  つぶって言った。  「もっ、と…俺に   寄って欲しいの…っ!」 _
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