192人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、実際問題弥琴は人間に必要な生理現象である呼吸がままならない状態で、まさに死活問題なわけで、死に物狂いで……そこに名残惜しさなどは全くの皆無で、弥琴は突き飛ばす勢いで希美都から離れた。
弥「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…。めちゃくちゃ綺麗なお花畑が見えた……気がする」
本格的に一歩手前まで行き詰めていたらしく、弥琴は青い顔をして呟いた…
弥「……これも立派な凶器になるんだね…」
アラームが鳴ってから5分ほど経って、弥琴が得た…全くもってありがたくない教訓だった。
しかしながら、ここまでくれば希紗都と希美都の姉のふたりがタヌキ寝入りしているのが分かるハズなのに、当の弥琴は寝ていると信じきっていて、いろいろされながらもふたりを起こすまいと声を抑えて、ネグリジェ姿を見まいと背を希美都に向けてなどする純朴さをこれでもかと発揮する。
弥「うぅ……早く起きないと真兄さんとお母さんのご飯と弁当が……クリーニングしたスーツも出さないといけないのに…」
家事スキルが穂村家の中でダントツの弥琴は迫ってくるタイムミリットに焦り始めていた。
セットした時間は姉ふたりにもみくちゃにされるのも考慮して早めにしておいたのだが、それでもいささか不安になる。
正常ならいつも通りに動く機械とは違い、人はいつもと似た様な動きはしても同じ動作はしない生き物だから。
特にこの両脇にいる姉ふたりに対しては当てはまる節がいくつもあるわけで、弥琴はそれを危惧しているのだ。
明らかに家族の枠を越えた過剰なスキンシップに―――
最初のコメントを投稿しよう!