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姉弟の仲が良いのは嬉しいこと。
だけど、何と言えばいいのか……希紗都や希美都の自分に対する触れ方が兄の真や母親と全く違うのに戸惑いを隠せない。
嬉しいのに困惑、悶々とする状況。
これなんてEROGE?
弥「よし。強行突破だ」
物事には優先順位があり、いま弥琴が優先すべきは朝食作りで、ベッドで悶えることではない。
そう言い聞かせて弥琴はうつ伏せになり、両手をベッドにつけてゆっくりと腕に力を入れはじめる。
ちょこっと顔を布団から出して正面を見る。
足を折りたたみ、つま先をベッドに引っかけて、クラウチングの縮小バージョン化した態勢になり、弥琴は腕と足の力を解放した――
弥「脱出成…こりゃああぃ!?」
ビタンッ――
弥琴はフローリングの床に熱烈なキスをした。と言うより、突っ込んだと表すのが適切な倒れ方だった。
受け身すら取れず、まるで大阪のキャラメルのお兄さん宜しく的なポーズで倒れるハメになったのは、言わずもがな右足を掴まえているふたつの手だった。
紗「んもう……弥琴ってばいけずなんだから」
美「ぶぅ…なんで出ていっちゃうの? あたしの気持ちよくなかった?」
弥「………いろいろ言いたいことはあるけど、まずは手を離してください」
何かを我慢している様な震える声で弥琴は口を開いた。
ここにきてようやく、さっきまでの行為が寝相ではなく、起きて故意にしていたと気づいた弥琴。
今更ながらも、騙されていたと分かるとやるせないモノがこみ上げてくるのが否応なしに感じられた。
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