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勝てる気がしないその答えは未だ動かない希紗都だった。
紗「弥琴が可愛いのがイケないの。そんなえっちい格好してわたしを見るから……そう、えっちい弥琴がイケないのよ」
弥「ヒイィッ…」
希美都とは違い、血走った瞳が弥琴を捉えた。
運動神経云々よりも、数の力が物を言わせ、2対1でテーブルの左右から攻められたら逃げ場など無きに等しく、一歩一歩、着実にふたりは弥琴に迫ってくる。
弥「ふ、ふたり…とも? お、落ち、おちおち落ち着いて、ね? 晩ご飯作ってあげるから…さ、ね?(ウルウル」
恐怖で縮こまっている弥琴は懇願してふたりを見つめるが、それは逆効果だと弥琴は知らない。
ふたりからして見れば今の行為は「い、痛くしちゃ…やだよ」と言っているようなもので、さらに鼻息を荒くさせるだけだった。
しかし、弥琴も男。このくらいでへこたれてなどいな――
弥「ね、ねぇ、話せば分かるって。お互い落ち着こうよ」
……ダメだった。すでに牙は折られていたらしく、引け腰の逃げ腰。
立ち向かうという選択肢は最初から無かった。
紗「……うふふふ」
美「フフッ…」
弥「や、やぁッ…」
ジリジリと詰め寄る自分より身長の高い肉食の獣の目をした姉ふたりが上から自分を見下ろしている。
立ち向かう選択肢など無くなるに決まっていたのかもしれない。
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