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2月は中旬に差し掛かるが、まだまだ寒い日が続く、とある土曜日。
ピピピ、ピピピ、と目覚ましのアラームが鳴る。
いつも通りに、いつもの様にセットした人を起こすために、けたたましく鳴る。
それが時計に課せられた義務だから全然構わないのだが、これはいつもと違って欲しかった。と、弥琴は目覚まし時計を止めてひょこっと布団から顔を出した。
“可愛い”
溜め息混じりの浮かない顔でもそう思ってしまう顔の持ち主は穂村弥琴。
れっきとした男である。
見たら100人中100人が可愛いと言ってしまいそうなくらい可愛いが、ちゃんと付いているモノは付いているので男だ。
その彼が起きて早々に困惑気味の浮かない顔をするのには理由があった。
いや、その理由が“布団の中に居た”と言うのが正しい。
弥「またか……」
上半身だけを布団から出して起こし、次に布団を捲る。
すると、弥琴の両脇にその答えが居て、スヤスヤと弥琴とは対照的に幸せそうな顔で美女がふたり……眠っていた。
弥「希紗都…希美都……ッ」
弥琴の左側にいるピンクと白のストライプ柄のパジャマを着たのが穂村希紗都。
右側でスケスケネのグリジェを着けているのが穂村希美都。
弥琴と三つ子にして姉のふたりがスースーと寝息をたてて――
弥「ちょ、希美ッ――つけてなッ……」
バザッと乱暴に布団を元に戻した弥琴の顔はほんのり紅をさしていて、うぅ……と低く唸った。
弥琴がナニを見たのかはご想像にお任せします。
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