411人が本棚に入れています
本棚に追加
兄は、例のぬいぐるみをいろんな角度から見ている。
名前が書いていないか、調べているのだろうか。
「何処にも、何も書いてないな。何だよこれ?」
けれども、名前どころか品質表示のタグも付いていないのを知ると。
兄は、あっさりと調べるのを諦め、ぬいぐるみを返してくる。
「まぁ、分からないなら貰っとけばいいんじゃないか」
「いいのかなぁ……」
本当にこのまま貰っていいのだろうか。もしかしたら持ち主は探しているんじゃないか。
改めてぬいぐるみを見つめて、私の心は葛藤する。
「……、え?」
でも、次の瞬間。
そんな葛藤など、どこかに吹き飛んでしまった。
何故なら、ぬいぐるみが瞬きしたからだ。
最初のコメントを投稿しよう!