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本当にぬいぐるみが喋ったと、再度話しても。
やっぱり兄は、全く私の話を信じていない。
「はいはい、そりゃ凄いな」
「だから本当に……。って、きゃあぁぁぁっ!」
視線を兄から、あのぬいぐるみに移した直後、衝撃的な光景を私は目の当たりにした。
ぬいぐるみが独りでに立ち上がった、いや立ち上がったと言うか完全に動いてる。
「に、にに、兄ちゃん! ぬいぐるみが!」
「今後は何だ? まるで生きてるみたいに動き始めたのか?」
そうだよ、そうなんだよ。動いてるんだよ。
と言おうとしたが、私はさらに衝撃的な光景に、もはや言葉が出なかった。
浮いてる、ぬいぐるみが浮いている。
「どうせ目のさっか……、く」
テレビ画面をバックに、宙に浮いているぬいぐるみ。
流石に、テレビ画面の前に浮かばれていては、兄の視界に入らない筈もなく。
兄も、開いた口が塞がらず、目を丸くしている。
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