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「う、うう、浮いてる! ぬいぐるみが浮いてる!」
「だから言ったでしょ!」
目の前の光景に、兄妹揃ってパニックになっている。
そんな私達を他所に、ぬいぐるみはゆっくりと移動しテーブルの上に降り立つ。
「お二方様はじめまして、僕、首輪付きって言います。お見知りおきを」
そして、流暢な日本語で丁寧な挨拶をはじめる。
当然、浮いて動いてさらに喋って、そんな摩訶不思議なぬいぐるみを前に冷静でいられるはずもなく。
私の頭はさらにパニックになる。
「あ、ご丁寧にどうも。長門 圭です、こちらこそ、よろしくお願いします」
って兄ちゃん、何を普通に接してるのよ。
「兄ちゃん! ぬいぐるみに頭下げてる場合じゃないでしょ!」
「あぁ、そうだった! ととと、兎に角落ち着け、いいか、もちつくんだ。こんな時は冷徹……、じゃなかった冷静さが大切だ!」
落ち着けと言ってる兄自身が、一番落ち着いていないように見えるのは気のせいだろうか。
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