二人目~田中安雄~

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田中 安雄は中学生の時から不良達の間では、そこそこ知られていた。安雄は、何か格闘技を習っていたわけでもないのに、喧嘩は強かった。 「…帰るかな。じゃっ、先輩方、卒業しても頑張ってください。」 笑顔で安雄は言い残して歩きだした。 帰り道、何か忘れてるような思いだったけど思いだせない。 ―何だ?何かあったような…。「おーい!安雄く~ん!」 「あっ?」 振り向くと、息を切らしながら走ってくる男子生徒がいた。 「あっ!思い出した!!隆弘(たかひろ)と帰る予定だったな!」 山田 隆弘(やまだ たかひろ)はクラスが一緒で安雄の友達の一人。大人しい性格で、眼鏡が似合う、読書系なオーラを出している。今日はどうやら帰る約束をしていたらしい。 「帰る約束もそうだけど!安雄君、先生が呼んでたよ。」 「…思い出した。そういえば呼ばれてたんだ。」 「行ってきなよ。待ってるからさ。」 安雄は来た道を見て 「いや、どうせ、時間掛かるだろうし…帰って良いよ。」 安雄は隆弘に向き直って肩を叩き、戻って行った。 「大丈夫かな…安雄君…。」 隆弘は心配そうに帰りだした。
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