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田中 安雄は中学生の時から不良達の間では、そこそこ知られていた。安雄は、何か格闘技を習っていたわけでもないのに、喧嘩は強かった。
「…帰るかな。じゃっ、先輩方、卒業しても頑張ってください。」
笑顔で安雄は言い残して歩きだした。
帰り道、何か忘れてるような思いだったけど思いだせない。
―何だ?何かあったような…。「おーい!安雄く~ん!」
「あっ?」
振り向くと、息を切らしながら走ってくる男子生徒がいた。
「あっ!思い出した!!隆弘(たかひろ)と帰る予定だったな!」
山田 隆弘(やまだ たかひろ)はクラスが一緒で安雄の友達の一人。大人しい性格で、眼鏡が似合う、読書系なオーラを出している。今日はどうやら帰る約束をしていたらしい。
「帰る約束もそうだけど!安雄君、先生が呼んでたよ。」
「…思い出した。そういえば呼ばれてたんだ。」
「行ってきなよ。待ってるからさ。」
安雄は来た道を見て
「いや、どうせ、時間掛かるだろうし…帰って良いよ。」
安雄は隆弘に向き直って肩を叩き、戻って行った。
「大丈夫かな…安雄君…。」
隆弘は心配そうに帰りだした。
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