一人目~瀧本一樹~

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―下校のチャイムが学校中に鳴っている― 一人の男子生徒が職員室前に立っていた。少し痩せていて、寝癖が目立つその男子生徒の名を2年1組13番 瀧本一樹(たきもとかずき)と言う。 一樹は眠たそうに職員室玄関の前で待っていた。 遅いな。何してるんだよ。てか、何で呼ばれたんだ?? そう思いながら、一樹は玄関の横に掛けられた掲示板を見た。追試受験確定者 ― 2年3組15番 田中 安雄(たなかやすお)― 2年6組4番 大島 賢太(おおしま けんた) …あらら追試喰らってる奴いるんだ。 そんな事を思いながら待っていると、 ―ガララッ 「竹田先生、遅いっすよー。」竹田先生は数学担当の先生で少し大柄で眼鏡を掛け、最近白髪が気になる、48歳の男の先生である。 「スマンな。コピーに手間取ってな。」 「良いですよ…ってコピー?」「ああ、一樹、お前追試な。」先生の目を見る。 本気だ…、本気で言ってる。それに手に抱えこんでるプリント…量がやばい。 「あの~、なんで俺追試?理由をおし――」 「点数足りないし、提出物出さないから。だいたい、学年末、お前3点じゃん?ダメだね。平常点でもたりないぞ。」 「そんな…まじか。でも、おれ――」 「しかも!お前、追試確定した受験者の中で、今のところ、点数最下位な。」 「………留年しろと…?俺――」 「だから、このプリント50枚を追試までに終わらせろ。もちろん残すぞ。家帰っても勉強せんだろ?」 まじか…、そんなにヤバいのか、てか、竹田、話し区切りまくりやがって…。 今さっき見た追試確定者のお知らせを見た。 嫌だ。絶対嫌だ! 「じゃ、頑張れよ。」 笑顔で竹田はプリントを渡し、職員室に入っていった。 「…嫌だ~~~~~!!追試のバカヤロー――」 ガララッ! 「うるさい!叫ぶなら勉強しろ!」 竹田だ― 「うるせー!話し区切んなよ!」 一樹はそう叫んで職員室を後にした。 …プリントを抱え込みながら…。
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