第二章 夢とは叶える為にある

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「これより、第92回、国立オーライン学園入学式を執り行います。それでは学園長先生、よろしくお願いします」 教師の1人であろう若い女の人の言葉で1人の老人が壇上に上がる。 高い身長に胸当たりまである長い髭。年齢ははっきりとは分からないが、相当な歳だと窺える。 しかし、やはり何と言ってもその存在感と雰囲気だろう。見る者全ての者の視線を、尊敬の眼差しへと変えてしまう程の圧倒的な存在。 そして、無意識でも伝わってくる、膨大で力強い、それでいて温かく、包容力のある魔力。知らない人はいないだろう。 『大地の皇帝』。その二つ名を持つ彼は、この世界にたった3人しかいない魔導士ランク最高位、Χランクの魔導士である。 今まで俺も何度か会ったことがあるが、まさかこの学園の学園長をしているなんて知らなかった。 「新入生の諸君、入学おめでとう。長い話は嫌じゃろうから短めに済まそう。 皆それぞれ、思い浮かべている夢があるじゃろう。まだ無い人も今日からの学園生活で見つけていくといい。これから君達は、様々なことを経験し、喜び、また思い知らされることになるじゃろう。しかし忘れてはならぬ。夢とは叶える為にあるものじゃ。自身が諦めぬ限り、叶えられる可能性は決してなくならない。皆それに向かって努力し、協力し、助け合うのじゃ。よいかの?それではここの生活が君達にとって楽しい思い出になることを祈っておる。わしからは以上じゃ」 パチパチと拍手が起こる。 「学園長先生、ありがとうございました。それでは、学園理事長のカルロス=アンバーン氏、よろしくお願いします」 学園長の次は、口髭を蓄えた50過ぎの男性が壇上に上がった。 ここからははっきりいって記憶にない。せっかく学園長が手短に済ませてくれたのに、アンタが長いんじゃプラスマイナス0じゃねぇか。 眠くなってきたところで隣を見たら既に夢の世界に旅立っていたため、俺も便乗して眠っちまった。 気付いた時には新入生代表の挨拶も、全てもう終わっていた。 「それでは、新入生にはそれぞれの教室に移動していただきます。クラス別名簿はこの室内闘技場の4ヶ所の出入り口に掲示してあるので、各自確認してから教室に向かって下さい」
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