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「そりゃ、少しはびっくりしたぜ?でも全く気にしてねぇよ。ソフィアだって嫌われたいわけじゃないんだろぉ?」
「そ、それはそうですよ!」
「ならいいじゃねぇか。オレ達は何も気にしてねぇよぉ」
「……本当ですか?」
「あぁ」
「……うっ………ふぇっ………ええぇぇぇえん!」
アレックスの言葉を聞いたソフィアは嬉しかったのか、何を思ったのかは知らないが、泣き始めたと思ったらいきなりアレックスに飛び付いた。
「お、おいっ?」
いきなりのことにその剛毅な顔に驚きの表情を浮かべながら、もなんとかソフィアを受け止める。
「ソフィアは嬉しいことがあると飛び付いてしまう癖があるんだ。私も最初は驚いたが、今はもう慣れてしまった」
そういえば、と思い出したかのようにエリスが言った。
「それでも今日会ったばかりの男にいきなり飛び付くかよぉ。って寝てる……」
疲れたのか、ソフィアはアレックスの腕のなかでスースーと静かに寝息をたてていた。
エリス曰く、その生まれつきの耳のせいで、初等部にいた頃はよくからかわれていたのだという。さらに、魔法史の授業で例の争いに関して学習したあとは「いじめ」にまで発展したそうだ。そのことが今も彼女の心に深い傷を負わせているのだろう。
今では、手術で耳の形を変えることもできるが、ソフィアは頑としてこれを拒んだそうだ。曰く、「耳の形を変えてしまったら、おばあちゃんのことを否定したことになる」と。祖母には、そんなこと気にしなくていい。と言われているらしいが、それでも断り続けたらしい。
見かけによらず頑固なんだなぁ、と呟きながらアレックスはソフィアの寝顔を見つめた。
「まぁ、祖母と言ってもエルフだからな。外見ははっきりいって20代だ」
おおぅ。予想はしていたが、実際に言われると見てみたい。
「レックス、そのまま部屋まで運んであげたら?」
「そ……それはさすがに……」
助けを求めるような顔をしながらアレックスはエリスを見た。
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