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「エリスの部屋はどこなんだ?」
俺も彼女も奥の方の部屋であるようで、歩を緩める気配は無い。
「私の部屋を知ってどうするつもりなんだ?」
俺の、何の感情もこもっていない質問に対し、エリスはニヤニヤしながら聞き返してきた。
「はぁ。別に何にもしねぇよ。ただ聞いただけだ」
コイツは昔からそうだった。
こっちが何気なく質問するのに対し、何かしらの理由を求めてくることが多々あった。
「そんな顔で言われても全く説得力ないぞ?ほれ、正直に言ってみろ」
「だから何にもないって」
実を言うと俺だって男であるためそういうことを考えなくはないが、俺としては平然を取り繕ったつもりであったのだが、ジーッと顔を見ながらどんどん近づいて来る彼女に俺は自分の顔が熱くなってくるのを感じた。
まぁ超美人にそんなことされたら誰でもこうなるだろう。
ってか、コイツと話すと大体ペースを崩される。
「フフッ、冗談だ。私の部屋は1030だ」
やっと離れてホッとしたのも束の間、今度は驚いてしまった。
「1030?と、隣だ・・・」
「ほほう。というとクラッドは1029か。ん?また何か考えたな?このスケベ」
またエリスがニヤける。それを見て俺はまた顔が火照るのを感じた。「何か考えてんのはそっちだろ?」と言い返してやりたかったが、コイツに口で刃向かっても大体返り討ちにされるのが目に見えているため適当に受け流した。
「じゃあまた明日な」
弄ばれるのは勘弁だと思い、そそくさと部屋に入ろうとするが、
「そうだクラッド」
と、呼び止められた。まだ何か言うつもりなのかと顔だけ彼女の方へ向けた。
「夜這いはしてもかまわんぞ。ちゃんと相手をしてやる」
「なっ・・・!?」
「フフッ。冗談だ。ではまた明日な」
そう言い残し、エリスは部屋に入っていった。
俺はゆっくり自分の部屋のドアを閉めながらこれからの学園生活を無事過ごすことができるのかどうかをひっそりと頭の中で懸念した・・・。
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