第三章 そんなに強かったのか

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「で、どうやって入った?」 朝食のバタートーストをかじりながら、俺は目が覚めたときからの疑問を聞いた。 「こうだ」 そう答えて、得意気に氷で鍵を作り出すのを見て呆れながら言い返した。大体は返り討ちにされるのだが、今回ばかりはさすがに俺に非はないため自信を持って言える。 「はぁ……。せっかくの氷魔法をそんなことに使うなよ」 「まぁいいじゃないか。気にするな」 「俺のプライベートが公開されてんだから、気にするに決まってんだろーが。 んまぁいい。これからは頼むから止めてくれ。心臓に悪い」 実際目が覚めたときは、夜の内に間違いを犯してしまったかと思った。後でドアの鍵に魔力感知器を設置する必要があるな、と考えながら、ふと気になったことを聞いてみる。 「高等部での授業って何すんだ?」 「恐らくだが主に戦闘についてをより詳しくするのであろうと思う。兄上が何があったのかを父上たちに報告しているのを聞いたことがある」 「そういや中等部じゃあんまり戦闘については触れなかったな。ギルドの依頼でフツーに討伐とかやってたから実感涌かねーな」 実際のところ、授業でやるのも大切なのであろうが、実戦を積むことが一番であるとは思うが。 「フフッ。確かにそうだな」 「また今度気晴らしにギルド行くか」 「そうだな。だが再来週に授業の一環で、クラス内でチームを組んで、ギルドで新規登録するらしいぞ」 どこから取り出したのか、授業の内容についての冊子を開きながらエリーが言った。 「ちょうどいいじゃねぇか。チームならアイツらでいいだろ?」 「ああ。いいと思うぞ」 と、彼女は笑顔で答える。 上級貴族である彼女は入学の約2ヶ月前になるとあまりギルドに姿を見せなかった。話によると、親戚や他の貴族への挨拶や入学への準備があるのだと言う。 久しぶりにギルドに顔を出せると思うことによる喜びが無意識の内に顔に出てきている。 「じゃあそろそろ行くか。1限目は何だっけ?」 「私達のクラスは………魔法史だ」 例の冊子を見ながら彼女が答えた。
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