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「よぅ。新入生……だよな?」
振り返ると、短めの茶髪に、たくましい体つき。身長はかなり高い。俺よりも10cmほど高いだろうか。そして、かなりの筋肉質。服の上からでも鍛えぬいてあることが分かる。
「ああ、そうだけど……」
「よかった……。他に誰もいねぇからちょっと不安だったんだよなぁ」
俺の言葉に安心したようで、男がホッとした感じでそう言った。
「オレはアレックス=ランスバート。オレも今年からの新入生だ。『レックス』って呼んでくれてかまわねぇぜ」
「俺はクラッド=ディークレインだ」
「よろしくなぁ」
そのまま学園に向かって歩きだす。
1人では長く感じる道のりも、2人で行けば短く感じるとはよく言うが、人付き合いが苦手な俺にとってはあまり変わらない。
隣で上機嫌で歩いているこの男はそうでもないらしいが。
「クラッドは学科はどこなんだ?」
「剣術科だ」
短く答える。
「オレは格闘科だ。クラッドはよぉ、ギルドにはもう入ってるのか?」
「あ~、まぁな」
「おおっ、マジか!で、ランクは?」
興味津々のようで。早く言えとせがむような目を向けてくるアレックスにボソッと呟くように言った。
「Aだ」
「えっ……?マジか……?」
驚くのも当然である。ギルドランクAといえば、マスターにきちんとした一人前の魔導士として認められた証拠。
学園に入学する前からAランクということは、かなり強いと言える。
「あ~、まぁな」
「マジか!!スゲーじゃん!Aランクって初めて見たぜ!オレの親も2人ともBだからなぁ」
色々話している間に、学園の正門に着いた。
アレックスのおかげで何となく近く感じだ道のりだった。
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