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「着いたはいいけど、どうするんだ?」
「知らねぇよ」
俺が知りたいところだ。こんな所で突っ立ってないで早く自分の部屋に入って寝たい。
どうしていいか分からず、何もしないよりかはいいだろうと判断し、ウロウロしていると、後ろから声が聞こえた。
「ごめんよ、お待たせ。
君達がクラッド=ディークレインくんと、アレックス=ランスバートくんかい?」
振り返ると、20代半ばだろうか、まだ若い男の人がこちらに向かって歩いて来ていた。
「あ、はい。そうッス」
「よかったよかった。君達で最後だよ。僕が君達の寮監の、ジル=スチュアートだ。よろしく。ジルって呼んでくれ」
「よろしくお願いします」
アレックスは愛想よく頭を下げながら挨拶したが、俺は軽くお辞儀しただけだった。こういうのは不慣れなため、自分よりは場慣れしている感じがあるアレックスの反応を見て感心する。
自分とて、ギルドの依頼を受注する際に、依頼主に会う機会は少なくないが、基本的にこんな感じでやって来たため、どんな対応をすればいいのかイマイチピンとこない。
「いいよいいよ、そんなにかしこまらなくて。気楽にしてくれ」
俺は別にかしこまっていたつもりはないのだが、若干緊張していたのか、アレックスは肩の力を抜きリラックスした。
「2人に寮についての説明をするから着いてきて」
ジルは3つある高級ホテルのような建物のうちの、ここから一番奥の1つに向かって歩き出した。
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