第一章 始まり

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「おぉ………」 部屋に着いた俺は唖然とした。理由は一つ、ただ単に『広い』。リビング、キッチン、寝室、全てにおいて広い。こんなに広い部屋が1フロアに30部屋めあるとは信じ難い。 ってかこんなに広くする必要ねぇだろ絶対。無駄なことに金使いやがって。 内心愚痴をこぼしながら取り敢えず荷物を整理する。ベッドや机、クロゼットなどの、生活に必要なものは一通り揃っているようだった。その他に自分が欲しいものがあれば各自で調達ということだろう。 しかし、この1人には広すぎる面積には、今俺が必要だと思っているものを全て置いたとしてもスペースが余る程だろう。あまり裕福ではない子たちはこの部屋のスペースを埋める前に自分の家の金庫のスペースが広がってしまうくらいだ。 自分の他にあと2人は暮らすことができるであろう程の面積の部屋を見渡す。 うん、何つーか、寂しいな。 こんなに広い部屋で寝起きするのはいったい何年ぶりだろうか。 懐かしい記憶を頭の隅に追いやり、ベッドに腰掛けながら今日出発する前に駅で買っておいた弁当をパクつく。冷めきった飯と寂しい部屋が何気にマッチしていて少し笑えてしまう。 食べ終え、風呂に入り、特にすることもないため、まだ寝るのには少々早い時間だが、ベッドに寝転ぶ。 長時間(2時間程度ではあるが、俺にとっては長い時間)の旅を終えたあとだったため、自分が考えている以上に疲れていたらしく、すぐに睡魔が襲ってきた。
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