第五章 平魔導士が敵う相手じゃない!

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「じゃあ、これなんかどう?」 ティアが1枚の依頼書を見せる。 それには、『薬草アラデの採取』と書いてあった。 「薬草の採取か。場所は………、ってかアラデなんてその辺にいっぱい生えてんじゃねぇか。自分で行きゃすぐ済むのに」 「だからFランクなんだ。それに、依頼主はこの街の実業家だ。その辺りの薬草では文句を言われるかもしれない」 それはごもっともな意見で。 確かにこの街の実業家は無駄に態度がデカイ。 最近では工業都市の大手企業からサポートの仕事が入ったとか言って街中に自慢していたのを覚えている。 ってか工業都市の大手企業に依頼されたってすげぇな。 あの連中はいつもなら全部自分たちでやっちまうから。 「で、報酬はいくらなの?」 「何だフェイト、金が気になるのか?」 「ちっ、違うよ!ただ聞いただけだよ!」 誤解されては困ると言いたげに必死に弁解するフェイト。 大丈夫だぜフェイト。分かってるから。 そんなのレックスの冗談に決まってる。 「報酬は5万E(エル)ですね。そして……、うわぁ~……」 依頼書を丹念に眺めていたソフィアが妙な声を上げ、全員に見せた。 「量がすごく多いです。10kgの薬草なんてそう集まらないですよ」
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