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「じゃあ、これなんかどう?」
ティアが1枚の依頼書を見せる。
それには、『薬草アラデの採取』と書いてあった。
「薬草の採取か。場所は………、ってかアラデなんてその辺にいっぱい生えてんじゃねぇか。自分で行きゃすぐ済むのに」
「だからFランクなんだ。それに、依頼主はこの街の実業家だ。その辺りの薬草では文句を言われるかもしれない」
それはごもっともな意見で。
確かにこの街の実業家は無駄に態度がデカイ。
最近では工業都市の大手企業からサポートの仕事が入ったとか言って街中に自慢していたのを覚えている。
ってか工業都市の大手企業に依頼されたってすげぇな。
あの連中はいつもなら全部自分たちでやっちまうから。
「で、報酬はいくらなの?」
「何だフェイト、金が気になるのか?」
「ちっ、違うよ!ただ聞いただけだよ!」
誤解されては困ると言いたげに必死に弁解するフェイト。
大丈夫だぜフェイト。分かってるから。
そんなのレックスの冗談に決まってる。
「報酬は5万E(エル)ですね。そして……、うわぁ~……」
依頼書を丹念に眺めていたソフィアが妙な声を上げ、全員に見せた。
「量がすごく多いです。10kgの薬草なんてそう集まらないですよ」
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