通学路にて

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「もうすぐバレンタインですわ」 帰り道に店の前のワゴンにチョコレートが積まれているのを見ると、マリアは目をうっとりさせた。 「ホント、今年もマリアのチョコ期待してるね」 シンディは何気なくマリアに笑顔を見せる。 が、マリアの表情は何とも言えないものだった。 「・・・どしたの?」 「いいえ、ただ今年はシンディにもチョコを作っていただきたいなと思いまして」 「無理無理っ!」 シンディは慌てて首を振った。 「駄目ですわ!」 「って言うか誰にあげるの!?マリア?」 マリアは頬に手を当ててため息を吐いた。 「・・・」 「・・・」 「まったく・・・ですわ、当然アレンさんに決まってます」 「アレンさん」 「そうです!」 「でもでも!」 「でも!ではないですわ、ささ、作りますわよ」 マリアは無理矢理シンディの腕を引いて近くの店へ入っていった。 店に入るなり籠に板チョコやらなにやらを放り込んでいく。 「ちょ、マリア!」 「心配せずともわたくしがお教えいたしますわ」 シンディの顔を見ないまま材料を選びながら進んでいき、そそくさと会計を済ます。 「さぁ、帰りましょ」 唐突な友人の行動に何も言えないまま従うしかないシンディ。  「シンディッ!それはこちらですわ!」 「えっ・・・これとこれって違うの?」 「まったく違います!」 ふくれっ面になりながらマリアはシンディに根気よく教えている。 しかし、シンディの料理に対する無知さは賜である。 「・・・」 シンディも自覚があるのかマリアには何も言わない。  シンディは自宅にマリアの家に泊まると連絡を入れて調理を再開させた。
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