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「俺、カメのことよくわかんねぇ…」
「そう?俺は仁のことよくわかるよ」
「は…?」
なにそれ、どうゆうこと?
ますます意味わかんねぇし。
「だってさ、昨日連絡しなかったのだって、風邪以外の理由なら仁は絶対納得しないだろうから、そこは素直に言った方がいいと思ったし」
「へ…?」
「だけど、治ったって言わないとすげー心配するし。けど、それなら離れないから、わざと冷たくして突き放したわけ」
「はあ?」
「仁に風邪うつすのは絶対ヤダし、これが俺が考えた一番の得策だったわけ」
「意味わかんねぇ…」
「仁がヘコむのはわかってたけど、それより風邪うつしちゃう方が俺は嫌だったから」
「…全然わかんねぇ」
「わかるだろ?」
「は?」
何がわかるんだよ。
俺は何もわかんないよ。
そんなんいっぱい言ったら、余計にわかんねぇよ。
「俺は天の邪鬼なんだよ」
「アマノジャク…?」
「そ、素直になれないの。わかるだろ?」
「…―っ」
あ、それはすげーわかる。
カメってほんと素直じゃねぇの。
だから……
「……あ」
「な?わかるだろ?」
「…うん、わかる」
「だからさ、今日は帰れよ?」
「うん…俺、帰る」
「ん、風邪ひくなよ?」
そっか、そーゆうことか。
そうなんだよ。
カメって、そうなんだよな。
いつもそう、肝心なこと言わないで余計な心配ばっかさせんだよ。
だから、素直になればいいのにって思うのに。
だけど、それがカメなんだよな。
んで、俺は知ってるんだ。
それが、カメだって。
わかる、わかるよ。
こんなに近くにいるんだから。
言わなくてもわかるのに。
言わせてごめんな?
だけど、それが俺だってこともカメはわかってるんだよな?
さすがカメ。
end.
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