変わらないモノと変わってしまったモノ

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  どうしてこんなに毎日毎日冷えるのか。 絶対に地球がおかしくなってると思う。 絶対に。 ついこないだまでこの地球は温暖化に悩まされてたんじゃなかったっけ? だから俺だって少ないボーナスを健気に貯めてエコカーに乗り換えたっていうのに。 俺は地球に優しくしてるのに、地球は俺に優しくはないんだな。 「はー…、さむっ…」 そんなことを思いながら、寒さに眉をひそめ、コートの襟を立てて早足で雑踏をすり抜けていると 見慣れた、だけど、しばらく見てはいない、そんな矛盾だらけの感覚で一人の男の後ろ姿に目が止まった。 「仁……?」 「へっ?」 見間違うはずもない。 確かに見慣れた後ろ姿なんだから。 正確に言えば、最後にその背中を見たのはもう何年も前になってしまったから、決して見慣れたものではないんだけど。 だけど、その数年の間にも片時も薄れることなく記憶の中に張り付いたままのその姿は、確かに見慣れたものだ。 「仁…だよな?」 「なんだ、カメじゃん!超久しぶり!」 確信と戸惑いをもってその背中に呼びかけると 振り返って見えたその顔に、安心と更なる戸惑いで胸が震えた。 (変わってないな…) 仁とは高校の同級生でクラスも同じで、なぜか気があったからいつも一緒にいた。 こうやって社会に出てみて初めて実感するけど、高校時代ってほんとに楽しかったなぁって思う。 毎日くだらないことで大騒ぎして、意味もなく笑い転げてたよな。 本当に大切な時間だったと思う。 その大切な時間を誰よりも長く近い場所で仁と過ごしてきて 俺にとって仁は何よりも大切な存在になっていたんだ。  
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