『私は湊峠君が好きである』

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「バレたならば仕方ないわね。だけど、一矢は報いさせて貰うわよ!!」 スカートに忍ばせていた小型ナイフを取りだし、その切っ先を天宮沙紀に突き立て────!! 「えいっ」 ぐるり、と視界が回転する。 物凄いスピードで体が回転しているのが分かる。地面に叩きつけられたけど、辛うじて受け身を取った。これは確か……一本背負い? 「あっ!す、すみません!つい癖で……」 一本背負いが癖ってどんなよ。 「お前、そんなん出来たのか」 屋上にあるベンチに座っていた湊峠君が心底驚いた表情で天宮沙紀に声をかける。 「何でそんなん出来て虐められてたんだよ。今となっては俺の人生の七不思議に入るわ」 「いや、親に封印しろって言われてたんですよ」 テヘへ、と照れている表情で頬を掻く感じは中々可愛かった。 しかし受け身を取ったとは言え体へとダメージは少なくなく、むしろ大きいと言えた。それ故にその仕草が逆に怖い。 「あ、大丈夫ですか?立てます?」 「え、ええ。何とかね……」 とは言いつつ足はフラフラで、これちゃんと教室まで辿り着けるのかしら……? 「チッ」 それを見かねた湊峠君が私に近づいて私をお姫さま抱っこに……いやいやお姫さま抱っこに!? 「えっ、ちょっ、あのっ、えっ?」 「確か3年1組だよな」 「えっ、これで行くの!?」 「たりめーだろう。さっさと行って俺は安息の眠りに着く」 は、恥ずかしい…… 後ろで天宮沙紀が半笑いで合掌しているのが見えた。何だか悪い子ではなさそうだけど、一度じっくりお話してみたいわ。 さて、取り敢えず私は3年1組に戻るまで誰にも会いませんように、と願う訳だけど、もちろんそんなことはあり得なかったわよ。
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