『私は湊峠君が好きである』

9/12
前へ
/44ページ
次へ
ダムン!! 泣いていて良く見えないが、車に何か衝撃が走った。バランスを崩した車は一気にハンドルを切ってしまい、思いきり道脇の塀へとぶつかった。 塀へぶつかる時、何かが挟まった気がしたけど……あれはまさか、 人? 「くっ、なんだと言うのだ!!」 「わ、分かりません。空から人が落ちてきたんです!!」 「それは見たら分かる!!」 許嫁とさっきの部下っぽい人が慌てふためく中、涙を拭き窓を見てみると窓には血がベッタリと付いていて、車と塀の間に人のようなものが見えた。 「くそっ!なんということだ!人を轢いたなど、知られる訳には……!!そうだ、とりあえず目撃した人間は消えてもら……」 「物騒なこと言ってんじゃねーよクズが」 車と塀の間から声が聞こえたかと思うと、次の瞬間には車は宙に浮いていた。 ちょうど車がひっくり返り、やっとのことで車から抜け出し、さっきの塀の場所を見た。 そこに立っていたのは、湊峠君だった。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加