『私の仕事は殺し屋だ』

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殺し屋。 それが私の仕事である。 私は一流の殺し屋だ。 物心ついた時にはこの仕事をしていた。先祖代々で殺し屋なのだ。 故にというか、私に親はいない。 私が物を考えられるようになった頃には殺されてしまっていた。 兄弟や姉妹もいない。 独りっ子だ。 そして私に名は無い。 名前が無いと不便だからだろうか、私はいつからかこんな名で呼ばれることになった。 『冷酷な天使』 ケータイ小説というのは時に不便で、ルビが打てないから二度の説明を必要とするが、私は「クール・エンジェル」と呼ばれている。 我ながら恥ずかしい通り名だ。 だが悪い気はしていない。 名前というのはあるだけで存在を認められた証なのだ。 この通り名がこの世から消えたとき、それは私が死んだ時だろう。 少なくとも私はそう思っている。
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