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柵に近づくにつれて気分が重くなっていく。しかしそれに気づかないくらい私の心は沈んでました。
正直、軽く病んでます。
ようやく柵までたどり着き、私は柵に手を掛けました。
これを越えれば戻れない。
覚悟はさっき決めました。
今なら迷わずに行ける。
足を上げ、柵を乗り越えようとしたときに、
思いっきり後ろへ引っ張られました。
何が起きたのか分かりません。
体が地に着いて体が安定し、私を引っ張った人へようやく顔を向けることが出来ました。
そこには三年生の制服を着た男子高生がいました。
今は授業中です。普通は誰もいません。不良でしょうか。
おたおたしていると、不良(?)から話しかけてきました。
「お前」
「は、はい?」
「なに死のうとしてんの」
正直、いらっとしました。
どこからともなくに現れていきなり理由を聞いてきたことよりも、
何で止めたんですか。
「あ、あなたには関係な─……」
「なに俺の前で俺より先に死のうとしてんの?」
「…………は?」
「いや、本気で腹立つわ、人が真剣に悩んでるのになに俺の前で死のうとしてんの?俺より先に死ぬとかマジ許せねえわ、俺の前で誰か死ぬくらいなら俺が先に死ぬわうおらああああああ!!」
うおらああああ、くらいから不良の人は柵に向かって走り出して、そのままガードレールを飛び越えるようなステップで柵を飛び越えて行きました…………って、
え?
いやいやいやいや
ええええええええええ!!!?
ちょっと待って!?
私が悪いんですか!?
私が死のうとしたから!?
え、ちょ、えええ!?
恐る恐る柵から顔を覗かせる。
まぁ、そりゃそうです。
5階ですから。
まるでザクロが弾けたように綺麗な血がグロテスクに広がってました。
しばらくそのまま凄い罪悪感に苛まれていると、不良の人がムクリと起き上がり……起き上がり?
「ちっくしょおおおお!!!!やっぱ死なねええええ!!!!」
生き返りました。
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