はじまり side.Y

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カリカリとノートに複雑な数式を書き込む斉藤。 同じ高校の同い年の同じクラスの男友達斉藤。 多分、男友達の中で一番仲が良い。 真面目に数学に取り組んでいるところを邪魔するのは少し、悪い気がするが、何せ暇だ。 暇すぎるのだ。 「冷たいー冷たいぞ斉藤くんー。勉強してないで構っておくれー」 「勉強しろ」 いつも通りの冷たい返事。 斉藤って、ツンデレだと思う。それもかなりの。 そんな事を言ったら絶対に怒られるから言わないけど。 「斉藤ってツンデレだよね」 あ、言ってしまった。 不自然な微笑みを顔に貼り付けた斉藤は、細くて綺麗な手で私の両頬を掴む。 「人が勉強しているのに邪魔する悪い口はこれですかー?」 「いはいれす。いはいれす。ほめんなはい」
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