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「あんな愛想だけはいいやつ、どこがいいんだか。まぁ、悲劇のヒロインを演じたいなら続けたらいいんじゃない?」
そう言って鞄を持ち、教室を出て行こうとするから思わず声をかけてしまった。
「な、なんで関係ない川村くんにそんな風に言われないといけないの?!人の話いつも盗み聞きしてるなんて最低。そんなんだから女子にモテないんだよ。それに、光司が浮気するのは私にきっと原因があるの。光司を悪く言わないで!それとも光司を妬んでるとか?みんなの特に女子の人気ものだもんね。悔しかったら将来光司よりもモテモテになってついでに社長にでもなって見返してみれば?!」
立ち上がって思いっきり叫んだから、息が上がってしまって肩を息をしている私と川村くんが見つめ合う。
そして我に返り、川村くんに酷いことを言ってしまったことに気がつく。
川村くんが言った事は正しい。
だけど、私の発言はただの八つ当たりだ。
「あっ、ごめんなさい」
謝る私を無視して、教室を出て行こうとする。
私は座り直して俯き、自己嫌悪に陥る。
すると、小さくなるはずの足音が、もう一度近づいてくる。
私の視界に、使い古した上履きが見えたので、ゆっくりと顔をあげた。
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