103人が本棚に入れています
本棚に追加
席に着くと聡子や他のクラスメイトがいて、飲み物を注文しながら早速みんなで今の現状報告が始まる。
高校の時の友達で今も現在会っているのは朱里と、たまに舞子と聡子だけだった。
だからまずは自分が何をしているかの報告から。
「へー、薫グラフィックデザイナーなんだ!かっこいいー」
「いや、そんなことも無いよ。名前だけ聞くとそう思うけど、皆が思っているほど華やかな世界ってわけでもないし、ね」
「でも、ずっとやりたいって言ってたから夢かなってよかったよね!」
そう、ずっとやりたかった仕事。
だから今の状況には忙しくて自分の時間が取れなかったとしても、満足はしている。
「そーいえば、薫結婚は?光司くんとはどうなってるの?」
どうやら、私たちの噂を知らない子もいて、知っている人たちがそれはダメだという顔をしている。
私は別に気にしている訳ではなかったので、正直に話そうとしたら聡子が助け舟を出してくれた。
「光司は他の人と結婚した。子供ができたみたいよ。この子は今は彼氏いないんだっけ?」
「うん」
聡子は、高校時代からクールで大人っぽい雰囲気で、何時も私たちを助けてくれていた。
今は10歳年上の人と結婚をして、さらに大人っぽい雰囲気、もとい、妖艶な雰囲気を出している。
「別れたんだ?!」
「うん」
まさか私たちが別れるなんて思っても見なかったというような表情をして、彼女は少しモウし分けなさそうな顔をした。
「でも意外だよねー、薫って高校の時は恋愛一色って感じだったのに、今は仕事って感じだもん。理想の人こんなんだー!っていっつも言ってたよね?あたしは真っ先に結婚すると思ってた」
「はは、そうだね」
私だってそう思っていたよ。
だけど、いつの間にか生活の中心は仕事だけになってた。
他の子の話を聞いていても、やっぱり28歳にもなると結婚しているか結婚していなくても彼氏が居る子がほとんど。
旦那や彼氏の愚痴が始まると、少し居づらくなってしまった。
聡子と話をしようと思ったけど、舞子が聡子に向かって勢い良く話しかけているから割って入る事もできないでいた。
そんな時、丁度タイミングよく、遅れてきた朱里と彼氏の悠宇くんが登場。
私はほっとしながら2人の元へと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!