First Beat

7/31
前へ
/62ページ
次へ
「昔は恋愛のことしか考えてなくて、一番最初に結婚するって言われてたのに、今じゃキャリアウーマンって感じだもんね」 「いや、キャリアウーマンでもない。あれはビシッっとスーツを着て、シャキシャキ働いてる感じじゃない?私はゆるゆるのワンピースにだらだらとお菓子食べながら仕事してるから」 「ま、確かにキャリアウーマンではないか。でも、仕事一筋って感じよね」 「そーでもないんだけどなー」 「……もしかして、まだ引きずってたりする?」 「え?」 「だから光司くんのこと。もしかしてまだ好きとか?」 「そんな訳ないでしょ?もう3年も経ってるし」 光司とは高校から3年前まで付き合っていた彼氏のこと。 彼はいわゆるクラスの人気者。 男子からも、女子からも人気が高く、私はずっと片思いをしていて高校3年の時、やっと同じクラスになれて、人生初めての告白をし、付き合うことになった初恋の人。 スゴく嬉しくて浮かれていたのもつかの間。 付き合ってみて気がついたけど、彼は浮気性で当時同じクラスの女子と浮気していたりした。 「光司は最後まで浮気ばっか。何度泣かされた事か。友達だったらすっごくいい奴だけど、付き合うと苦労ばっかりさせられた気がする。今思い出してもなんで付き合っていたか分からないもん。あげくには、浮気相手に子供が出来たから別れてくれって言われて、怒る気もうせた」 「そっか。吹っ切れているならいいけどね。ならさ」 朱里は持っていた鞄をあさりだし、一枚のハガキを目の前に差し出した。 「何これ?」 「同窓会開催のハガキ。あんたの家にも届いてなかった?」 「……ポスト、2週間ぐらい見てない」 「だろうと思った。今時珍しいよね。わざわざハガキで連絡してくるなんてさ」 目の前に差し出されたハガキを手に取り、内容を確認する。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

103人が本棚に入れています
本棚に追加