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「今まで何度か本格的な同窓会って感じじゃないけど、みんなで集まったりしてたじゃない?薫は仕事で参加できてないけどさ。もしかして、丁度卒業して十年って節目だからかな?」
上から順番に目を通す。
最初は簡単な挨拶。
開催日時、開催場所等々、まるで結婚式の案内状みたいにかしこまった内容。
けど、私は最後の文字を見て、動きが止まる。
「薫?どーかした?」
「主催者、川村日向」
「そうそう、やっぱり気になった?主催者が今話題の川村くんなのよ」
「今話題?」
「忙しくてテレビや雑誌も見てないか」
「うん。仕事に関わるような記事とか雑誌とかしか見れてない」
「若くしてIT会社立ち上げて、成功した今若手注目度ナンバーワン起業家よ」
「そう、なんだ」
私は、もう一度ハガキに目を通す。
ドキン
何これ?
「薫?本当にどうかした?」
ドキン
「う、ううん。なんでもない」
「これ、一緒に行かない?」
「一緒に?」
「そ、たまには昔の連中に会って騒ごうよ。舞子や聡子も来るらしいよ。あの川村くんに会えるって、旦那を放り出していくってさ。昔は男子には人気あったけど、女子には冷たくて人気なかったのにね」
「……」
ドキン
まただ。
「あー、やっぱり光司くんに会うのは嫌かな?それとも昔光司くんが浮気してた佳子に会いたくないとか?」
「あ、佳子とはあれ以来気まずいけど、それは全然平気」
「それはってことは他に気になることでもあるの?」
気になることは、ある。
「ううん!全然全くない!」
それは何でも話してきた朱里にも話していないこと。
「行く、行くよ!私行く」
「そんなに何回も言わなくてもいいから。じゃ、今日かえったらちゃんとポストみて、返事出しときなさいよ」
「……うん」
いつの間にか喉が乾いてしまっていたので、目の前にある奇麗なカクテルを一気飲みした。
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