写し鏡の月

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      * 夜7時。あたしは車を駅前の駐車場に停めて公園に向かった。歩いて5分。低い生け垣とランダムに植えられた雑木に囲まれた、3つ程の遊具と砂場があるこじんまりとした住宅街に良くある公園。 点在した外灯の下のベンチに腰掛けて海希が来るのを待った。 数分後、少し急ぎ足でやって来る人影。 「遅くなってごめん。一本バス逃しちゃって」 「いいのよ。あたしには時間があるんだから」 「で、何?話って。」 「あたし、一応彼女だと思ってたんだけど、話とか用事がなきゃ会えない関係だって事?」 「そういう訳じゃないけどさ。俺も用事があるし。」 「彼女が部屋を訪ねてくるの?」 息を飲むのが薄暗い中でもありありとわかる。 「な・・・なに言ってんの?彼女?なんの話?」 あたしはあくまで穏やかな口調で答えた。 「あたし、この前電話かけたのよね。そしたら女性が出たわ。『海希はお風呂入ってます』って言われたわ。まるで奥さんみたいに。海希には姉妹いないわよね?」 「あ・・・あのそれは・・・」 しどろもどろになりながら、海希は言葉を探している。
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