17人が本棚に入れています
本棚に追加
*
夜7時。あたしは車を駅前の駐車場に停めて公園に向かった。歩いて5分。低い生け垣とランダムに植えられた雑木に囲まれた、3つ程の遊具と砂場があるこじんまりとした住宅街に良くある公園。
点在した外灯の下のベンチに腰掛けて海希が来るのを待った。
数分後、少し急ぎ足でやって来る人影。
「遅くなってごめん。一本バス逃しちゃって」
「いいのよ。あたしには時間があるんだから」
「で、何?話って。」
「あたし、一応彼女だと思ってたんだけど、話とか用事がなきゃ会えない関係だって事?」
「そういう訳じゃないけどさ。俺も用事があるし。」
「彼女が部屋を訪ねてくるの?」
息を飲むのが薄暗い中でもありありとわかる。
「な・・・なに言ってんの?彼女?なんの話?」
あたしはあくまで穏やかな口調で答えた。
「あたし、この前電話かけたのよね。そしたら女性が出たわ。『海希はお風呂入ってます』って言われたわ。まるで奥さんみたいに。海希には姉妹いないわよね?」
「あ・・・あのそれは・・・」
しどろもどろになりながら、海希は言葉を探している。
最初のコメントを投稿しよう!