写し鏡の月

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「いつまでも待たされるのもキツいから、結論出たら早く連絡ちょうだいね。」 あたしは背を向けて歩き出した。久しぶりにマッタリ過ごす筈だった休日はポッカリと空いちゃった。なんだか急に虚しい。 ふぅっと息を吐き出すと、公園の入口に人影。携帯を取り出し電話をかけ始めたようだった。 「あ。海希?今日は無理かもって言われたけど、ちょっとでも顔が見れたらなって思って近くまで来たの。。。。。公園の入口だけど?。。。。。そう。わかった。早く来てね。」 先に部屋に行っててって言われたんだろう。二股の片方だって事も知らずに嬉しそうに弾む声。 海希は勢いだったって言ったけど、彼女は以前から好きだったのかも知れないなってふと思った。 携帯をバックに入れて、顔を上げた彼女と目があった。 「海希ならそこにいるわよ。」 あたしは顎で公園の奥をさして、驚いて公園の奥とあたしを交互に見ている彼女を後目に駐車場に向けて歩き続けた。
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