写し鏡の月

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      * 「で、連絡来たの?」 ランチを食べ終わり、コーヒーを飲みながら千景に促す。 「昨日、夜も遅くなってから電話が来たのよ。なんでも彼女があの晩、あたしの事を問い詰めたあげくに『別れるなら死ぬ』って騒いで大変だったって。俺は千景のほうが気楽だし好きだけど、今の時点で彼女を捨てられないから、ごめんだって。」 「あたし達にはない情熱だわね。彼、このまま彼女の呪縛から抜けられないまま一生を過ごすんじゃない?」 「そうかも。海希はいつか彼女が落ち着いたら別れたい・・・そんときあたしがフリーなら戻りたいみたいなニュアンスで話してたけどさ。っていうか、あたしキープ扱い?信じられない!」 「あはは。別に気を使ってフリーでいる必要ないじゃない?」 「そうだよね。って訳で今週末空いてる?」 「とりあえず空いてるけど?」 「買い物付き合って。新調した洋服着て新しい男掴まえてやるー」 女がストレス発散するには、食べて、喋って、衝動買い。 千景は王道を突き進むつもりらしい。
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