Prologue

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 これまでずっとあなたと共に過ごしてきたけれど私があなたに出来たことはあったのでしょうか?  私はいつもお礼を言うだけで、これまでもずっと……  ううん、これからもずっと……ずっと何かしたかったのに  私は何も出来なくて、何も返す事が出来無くて  いつもあなたは優しくて  いつも私を褒めて優しい笑顔を向けてくれたけれど本当は  何も出来なくて  それが嫌で……いつだったか、そんな事を伝えたら  あなたはいつもの様に微笑んで  ――それで良いんだよ  そんな事を言った  その時の私にはそれを理解する事が出来無かった  だけど皮肉だね……今ならわかるよ……  ――あなたが居ればそれで良い  ――無理をする必要なんて無い  ――あなたが私の事を考えてくれているのなら、その気持ちだけで十分私は幸せです  それがわかった時はもう……手遅れだった……  私は本来一緒に居るべき存在じゃ無かったから……  それを自覚してしまえば、もう一緒に笑い合え無いとわかってしまったから……  だけど良かった事もあったんだ  あの言葉の意味を理解出来た事  偽りでも、あなたと一緒に過ごせた事  そして……あなたを守る事が出来る事  挙げればまだまだ一杯あるんだけど、やっぱり今はこれが一番大きいかも  これは……私の唯一の救いだから  私だって本当はまだ一緒に居たかった……  だけどそれは叶わない……  わかってるよ、それくらい……  私があなたを求めれば、あなたが不幸になってしまう  だからせめて私は願います  この先のあなたが幸せである事を…… 『これくらいは自分で言いたかったよ……  ……ありがとう私は幸せでした  だけどどうか……  私の事は忘れて下さい         In the diary』
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